ジャスミンのひとり言

<第1回>

はじめまして、ジャスミンです。
ここは楽しくサッカーができるように、子どもの成長やスポーツ障害について豆知識をご紹介するページです。

第1回目のお話しは『骨』についてです。
硬くて丈夫な骨は、いっけん髪の毛や爪のように命のない物質のような印象を受けるかもしれませんが、実は何億という細胞からできている立派な生きた組織です。一つ一つの細胞は、血液から酸素や栄養をとり、細胞の中でいらなくなった物質を排泄し血液の流れにもどします。硬そうな骨組織には、すみずみまで細かい血管が行きわたっていて、骨の細胞は、体の中のビタミンやホルモンの影響に敏感に反応し、また体の健康状態に大きく左右されます。

ところで”骨年齢”って言葉をきいたことがありますか? 年齢に応じた骨の完成(成熟)度を骨年齢と呼び、成長を表す指標の1つのことです。
骨と骨が関節を作る部分を骨端部といいます。生後間もない乳児の骨端部はまだ軟骨組織からできているため、X線像をみても外形のすべてが写し出されることはありません。骨端部では成長に従い一定の順序で骨核が出現しサイズが増大していき、最終的には拡大した骨核どうしが癒合して完成した骨となります。

例えば、上腕骨と大腿骨の骨端部を見てみましょう。
上腕骨
肩の部分は3ヶ月頃から骨核が出現し、20歳頃に癒合します。
肘の部分は5ヶ月頃から骨核が出現し、17歳頃に癒合します。
大腿骨
股関節の部分は4ケ月頃から骨核が出現し、17歳頃に癒合します。
膝の部分は胎生36週から骨核が出現し、18歳頃に癒合します。
(他にも成長過程の骨は沢山ありますが、そのお話しはこれからのお楽しみということにしましょう)

今まさに成長期の子どもたち、いっけん硬くて丈夫で何の変化も起こりようがないようにみえる骨の中で、絶え間なく世代交代を続けながら骨を完成させているのです。


参考文献:
標準整形外科学(第7版) 医学書院
骨と関節の不思議 − 東海大学出版会 −
骨が語る − 大修館書店 −
 


<第2回>

今回は『筋肉』のお話です。
うーん、マニアックにならないように気をつけなきゃ・・・・・・
筋肉には横紋筋(オウモンキン)、平滑筋(ヘイカツキン)、心筋(シンキン)の3つの種類があります。
横紋筋は自分の意志によって関節を動かす筋肉で、その集団は骨格を支えているので骨格筋とも呼ばれます。
平滑筋は自分の意志とは無関係に内臓や血管の運動を行わせる筋肉です。
心筋は、もちろん意志とは関係なく、心臓の運動をしている筋肉です。
今回は骨格筋の話にしましょうか。
 
筋肉が力を発揮するのって、伸びるとき? それとも縮むとき?
そう、”ポパイ”を思い出してねッ。ホウレンソウの缶詰を食べた後に、必ず出すチカラコブ!
あのボディービルダー世界チャンピオン顔負けの肉体は、筋肉が縮むときに最大限の力が発揮されるんです。

悪いヤツをパンチするときに役立っている筋肉は、大胸筋といって胸から上腕骨についている筋肉。

そう筋肉ムキムキのおにぃさんがオッパイのとこだけをピクピクさせることあるでしょ、まさしくあの筋肉をつかってるのです。
最近でいえば、『 ONE PIECE 』のルフィーはきっと「ゴムゴムのバズーカ」でパンチ炸裂するときよりも、「ゴムゴムのXXX」で遥か彼方につかまった手に自分が近づいていくときの方がエネルギーが大きいから、相手に与えるダメージも大きくて戦いには効果的なんじゃないかしら。
アニメをこんな風に見てたら面白くない?いやいやそんな事いわないで、もう少しお付き合いくださいね。

筋肉ってどうやって縮むのかしら?って思いませんか。
筋肉を小さくして小さくしてもっと小さくして、すっごく小さくするとミオシンとアクチンという2種類のタンパク質になります。

まるで格子戸を横に並べたように規則正しく並んでいるんです。
この格子戸を、いっせいに開けたり閉めたりする引き戸のような運動が、筋収縮の原動力になっているんです。

どの程度の筋力が発揮されるかは、引き戸の運動がどれくらい行われたかによって決まるってわけです。いい仕事してますねぇ〜。(って今は誰も言わなくなっちゃったかな;笑)
 


 

<第3回>

  

たいへんご無沙汰振りのジャスミンです。

勝手に何ヶ月もお休みしちゃって・・・・・ハハハッってカンジですね。

新学年になって早や3ヶ月目に突入。

子どもたちも試合に練習に、気合が入ってますね。(笑)

さてさて、張り切ればその分怪我も多くなるってもんです。

そこで、今回はチョコッと趣向を変えて、練習バックに入っているスプレー缶のお話をしちゃいます。

 

さてそのスプレー缶の正体とは?

『キズド○イ』くんと『コールドスプレー』さんです。

両者とも目的があって世に出てきた品物なのですが、試合や練習の時にはチョコッと適さないかなぁ〜と思います。

ご家庭で使われる分には、人それぞれ好みがありますからね。(笑)

それじゃ、どんなところが適さないか、書いてみましょうか。

 

まず『キズド○イ』くんから。

転倒したときにできる開放創は、受傷から創処置までの時間経過が6〜8時間以内であれば、細菌感染が深部に及んでいないとされています。

損傷部位は表皮から真皮にいたるもので、土や砂で汚染されている場合が多いため、十分洗浄したうえで消毒すれば、自然治癒により回復します。

よ〜〜〜く洗浄しないで『キズド○イ』くんを使ってしまうと、傷が化膿し、皮膚・軟部組織が細菌で感染する可能性があります。

万が一化膿して病院に行くと、出血するまでブラッシングをしてキズド○イを取り去らなくてはなりません。

わぁ〜、考えただけでも痛々しい・・・・・顔がシブクなっちゃいますね。

 

さてもう一つ『コールドスプレー』さん。

外傷後の応急処置として「冷やす」ことが大切ですネ。

その目的は、組織内に血液や血漿成分を減少させて、外傷部位の浮腫、炎症を抑えること、疼痛の軽減などです。

コールドスプレーは揮発液を局所に噴霧し、その気化熱で冷却する方法ですが、深部組織の温度低下はほとんど認められません。

実は、急性外傷の応急処置の際は氷をビニール袋に入れて、患部に濡らしたタオルの上からアイスパックの当てる方が冷却効率がよいのです。

ですから、当番の際には氷を用意していただいた方が賢い選択ですね。

 

うわぁ〜〜〜っ、マジメな話しちゃった。

この次はどんなネタにしよっかな。皆さん気長にお待ちくださいマセ。

 


 

<第4回>

 

今回は夏を目前に、『熱中症』についてお話します。

 

ヒトは環境温の変化に対して体温を一定に保つように制御するために、体温調節中枢の中にセットポイントという基準値をもっています。

体温がセットポイントを超えれば、自発的に日陰に移動したり、服を脱いだり、発汗したりして体温を下げる行動をします。

逆に、体温がセットポイントよりも低いときには、自発的に暖かい場所に移動したり、服を着たり、皮膚血管を収縮させたりして、熱を奪われないようにします。

暑さや熱による生体の障害は、熱中症と総称され、よく聞かれるものとして『日射病』と『熱射病』があります。連日、真夏日が続くとニュースなどでよく聞かれる言葉でしょ?でも、その症状って知ってるようで、知らないことが多いんですよ。

 

 

日射病

熱射病

発生機序

炎天下の会合や運動。

頭部や頚部が直射日光で照らされている場合が多い。

高温多湿な場所での運動により熱放散が不十分となった場合。

病態

脱水

高度の脱水

多臓器不全

体温

38℃以下

40℃以上

中枢神経系

 

初期には頭痛、疲労感、めまい、興奮、軽度の意識障害

後期には精神症状、昏睡、痙攣

皮膚

発汗、湿潤

初期には蒼白、発汗

後期には紅潮、乾燥、高温

その他

めまい、嘔気、嘔吐、脱力

初期には嘔気、嘔吐、脱水、頻呼吸、嘔吐

後期には頻呼吸、頻脈、多臓器障害、低血圧、悪心、嘔吐、下痢、腎不全

 


 

<第5回>

 

今回は小児のスポーツ外傷と障害について(少々カタイ感じもしますが)お話しします。


スポーツ外傷は直接外力が作用して発生する骨折、打球などのスポーツ外傷と、トレーニングを過度に繰り返して行うために発生するスポーツ障害に大別することができます。つまりスポーツ外傷は一度に作用する大きな力で発生し、スポーツ障害はover useや小外傷の反復が原因となって起こります。


小児の骨や関節は大人のものと違うため、スポーツ外傷、障害ともに、大人に見られないような特徴を有するものがあります。なぜかというと、子どもの骨には4つの特徴があるからです。
1つ目は、骨の端っこに骨が成長する部分があること。
2つ目は、関節を支えている靱帯が骨の端っこよりも強いため、靱帯に強い力が働くと、靱帯そのものよりも靱帯が付着している骨の方が傷ついてしまうこと。
3つ目は、骨がしなやかで骨癒合が早いこと。
4つ目は、骨の成長が早い時期があり、その時期には筋肉の成長がついていけずアンバランスが生じることです。これによって相対的に筋肉が短くなって、関節に痛みを訴えることがあります。

よく聞かれるスポーツ障害に「オスグット・シュラッター病」というものがあります。
小学校高学年から中学校1〜2年生の男子に好発するといわれています。運動中もしくは運動後に膝痛を、膝のお皿の下に圧痛を訴えます。その原因は、運動して太モモの筋肉を使ったときにスネについている靱帯が引っ張られるんだけど、靱帯よりも靱帯が付着している部分の骨の方が弱いので骨が裂離してしまうこと。そしてもう1つ、子どもの骨の4つ目の特徴に運動により太モモの筋肉が硬くなることが相まって、膝の下の部分を引っ張る力が強くなることです。
治療法としては運動前後のアイスマッサージと太モモのストレッチなどがあります。あまりにも疼痛をう訴える時には、休む勇気も必要ですよね。

チョッと待って!”男子に好発する”ってどういうこと!!!この部分だけ訂正したいジャスミンです。女子にも起こりますよ。中学生時代、陸上部に所属していたジャスミンです。同級生の女の子(今では皆リッパな母たちですが・・・)6人中2人がこの障害で膝に痛みを訴えていました。そういえば、男の子は訴えてなかったなぁ〜。私たちって、少々活発な女の子たちだったみたいですネ。